イーロン編④32万台の予約、作れたのは260台
工場の床で寝た社長が地獄を抜けるまで
生産地獄注文は殺到、車は作れない。マスク氏自身がこう呼んだ(2017年)
1第1章 熱狂
発表から1週間で予約32万台、2016年3月31日、テスラは「みんなが買える電気自動車」を発表した
- どんな車?
- 高級車ばかりだったテスラが初めて出す、手の届く値段のセダン
- その夜
- 発表の当日だけで11.5万台、1週間で32.5万台の予約が入った
何が起きたか
2016年3月31日、テスラは新しいセダン「Model 3」を発表しました。それまでの高級車と違い、多くの人が買える値段を目指した車で、発表から1週間で32万5000台を超える予約が集まりました。
なぜ大事か
予約の数は、テスラがそれまでに作ってきた車の合計をはるかに上回っていました。注文があっても、それだけの車を作る力がまだ会社になかったことが、この後の「地獄」につながります。
日本への影響
Model 3は2019年から日本でも納車が始まり、日本で最も見かけるテスラ車の一つになりました。
2第2章 どん底
目標1500台、作れたのは260台
- 7月28日
- 最初の30台を納車。「少なくとも半年は生産地獄だ」と語った
- 3か月後
- 7〜9月に作れたのは260台。目標の2割に届かず
何が起きたか
2017年7月28日、テスラはModel 3の最初の30台を客に引き渡しました。ところが2017年7〜9月に作れたModel 3は260台だけで、見込んでいた約1500台の2割にも届きませんでした。
なぜ大事か
テスラは工場と電池工場の一部の工程が予定より立ち上がりに時間がかかっていると説明し、週5000台という目標を先へ延ばしました。数十万台の予約を抱えたまま、車を作れない状態が続きました。
日本への影響
車の量産は、日本の自動車メーカーが何十年もかけて磨いてきた分野です。新しい会社がいきなり大量生産をする難しさがよくわかる場面です。
3第3章 誤算
ロボットに任せすぎた「私の失敗だ」
- 何が起きた?
- 目標は週2500台。3月末の1週間で作れたのは2020台だった
- 本人の言葉
- 「行きすぎた自動化は私の失敗。人間は過小評価されている」とXに投稿
何が起きたか
テスラは2018年3月末までに週2500台のModel 3を作る目標でしたが、最後の1週間で作れたのは2020台でした。4月13日、マスク氏はX(当時のTwitter)に「テスラの行きすぎた自動化は間違いだった。正確には私の間違いだ。人間は過小評価されている」と投稿しました。
なぜ大事か
テスラはロボットだらけの工場で一気に量産しようとしましたが、機械がうまく動かず、かえって遅れました。生産ラインを数日止めて作り直すことになりました。
日本への影響
写真はドイツの自動車工場の溶接ロボットです。日本のファナックや安川電機も、こうした工場ロボットの大手です。
4第4章 捨て身
社長は工場の床で寝て、敷地にテント工場
- 工場の床
- 2018年4月、米CBSの取材で工場の床で寝ていると認めた
- テント
- 新しい建物は間に合わないと、テントの中に組み立てラインを作った
何が起きたか
2018年4月、マスク氏は米CBSのインタビューで、ここ数か月は工場の床で寝ていて、楽しいことではないがやらなければならないと話しました。さらに、新しい建物を建てる時間がないとして、フリーモント工場の敷地にテントを張り、その中に新しい組み立てラインを作りました。
なぜ大事か
工場の床で寝ていたことについて、マスク氏はのちに米ブルームバーグの取材で、社員の誰よりも自分が苦しむためにわざとそうしたという趣旨の説明をしています。一方で、長時間労働など工場の働き方には批判も出ました。
日本への影響
大きな屋根のテントは日本でも倉庫などに使われますが、自動車の組み立てラインをテントの中に作るのは自動車業界でも異例のことでした。
5第5章 突破
期限の朝、週5000台に届いた
- その1週間
- Model 3を5031台生産(同社発表)。テントのラインが約2割を作った
- その後
- 2018年7〜9月期、テスラは2年ぶりの黒字に
何が起きたか
2018年6月の最後の1週間で、テスラはModel 3を5031台作ったと発表しました。目標の週5000台にようやく届き、テントの中のラインがそのうち約2割を作ったと説明しています。
なぜ大事か
1年近く遅れた目標でしたが、ここで量産の形ができました。2018年7〜9月期にテスラは2年ぶりの黒字を出し、Model 3は会社の主力の車になりました(New Atlas)。
日本への影響
この量産の経験が、のちに中国やドイツ、米テキサスの巨大工場につながっていきます。
海外の報道や各社の発表をもとに、ai.1min.news が日本語でまとめました。AIの使い方と編集方針